本稿では、長文読解の勉強法や長文の読み方・解き方を解説します。長文が苦手な人はぜひ最後まで読んでみてください。長文読解のポイントを理解して効率的な勉強を行えるようになります。単語・熟語力と文法力の確認方法も載せているので、長文読解に入る前の実力チェックもしてみてください。
目次
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【事前準備】長文に入る前に、単語と文法力の確認をする
語彙力がないと文章を読むことは難しい
長文読解の勉強を始めようと思った受験生の皆さん、まずは「単語・熟語・文法力」を確認してみましょう。これは、長文読解に必要な力が揃っているか判断するためです。
単語・熟語に関して言えば、数々の研究から「読解問題で8割の正答率を得るには、文章中にある約95%の語彙を知る必要がある」という結果が分かっています。すなわち、長文を読んでいる時に単語や熟語が分からずにウンウン唸っているようでは、一生英語が読めるようにならないということです。
文法に関しても同じで、読み方を知らない英文を読むことは出来ません。特に、中学で習う文法は英文の骨格を成す重要なものばかりであるため、これらを習得できないと高校に入ってからも確実に苦労することになります。
語彙力を簡単にチェックしてみる
自分の語彙力を確認する方法は簡単です。
1.単語・熟語力の確認
「長文中に知らない単語・熟語が何個あるか」を確認します。使う長文は出来れば志望校の過去問が良いです。自分の現在の語彙力とのレベル差を測るのに丁度いいからです。
具体的には、(知らない単語(注釈語等は除く) ÷ 全単語数 × 100)の値が5%以下になれば、その長文中で知らない単語・熟語が95%以上となるため、その文章を読むことが可能となります。
この方法を行う際は、長文のテーマを偏らせることなく数本で行うことが重要です。語彙力を測る長文が1本のみだと信頼性が落ち、テーマの偏りも同様に信頼性の低下に繋がるからです。基礎~中堅レベルまでの長文を各5本づつ、合計10本程度で語彙力を測ると良い結果が得られると思います。
長文問題を解き終わった後に、ついでとしてぜひ語彙力の検証をしてみてください。レベルごとに語彙力を測ることで、自分がどんな単語を身に付ける必要があるのか明確になります。
2.文法力の確認
「文法問題集をランダムに数ページ開き、そこにある文法問題がいくつ解けるか」を確認します。問題集は何でもよく、自分が試したいレベルの問題集を使用してください。
具体的には、(解けた問題数 ÷ 全問題数 × 100)の値が
- 50%以下なら文法を全体的にやり直す必要あり
- 60~70%なら苦手分野を重点学習する
- 80~90%なら全体的に文法力があるので、文法の演習をする
といった判断になります。
文法は単語や熟語と違って分野が明確に分かれています。そのため、本ページで紹介した正答率はあくまでも総合的な指標に過ぎず、苦手分野を見極めて重点的に学習することが大切です。ただ、模試や本番の入試では総合力を問われるため、あらゆる分野に対応できるよう学習することが重要です。
その意味では、本記事で扱った文法力の確認方法で90%以上を安定して出せるようになれば、文法問題への対策は完璧と言えます。ただ、文法問題集のレベルによって正答率が異なることが考えられるため、自身にあったレベルの問題集で確認してください。
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【長文の勉強法】シンプルなものを「継続」する
語彙力の確認が出来たところで、長文読解の勉強法をお伝えします。本稿で紹介するのはかなりシンプルな勉強法です。すなわち、成績を向上させるために特殊な勉強法を取り入れる必要はありません。
step.1
長文問題を普通に解いて、丸つけまで行う
step.2
知らなかった単語や熟語、文法をすべて調べて「問題集以外のノートなどに」書いておく
step.3
問題を解いた次の日から、1週間はその長文を毎日1回読む
このように、問題を解いて知らない事項をすべて明らかにした後、その長文を何度も何度も読み続けるという勉強法が、長文読解の実力UPに効果的です。
この理由は、長文を「読みこなす」という、英語を読むための本質的な力を身に付けることが出来るからです。同じ長文を毎日読むことによって、その長文に使われている単語や熟語、文法事項を無意識のうちに読めるようになります。さらに、長文の「リズム」を体で覚えることで、知らぬ間に速読力を身に付けることが出来るのです。
この本質的な英語力を身に付けると、キーワードを拾うだけの読み方や設問を先読みする読み方など、受験テクニックを用いた時に比べて、設問の正解率を驚異的に安定させられます。なぜなら、受験テクニックでは読み解けないような難解な文章でも、英語力自体を身に付けられれば解答は容易だからです。
まずは、上記のシンプルな勉強法を1カ月程度継続してみて下さい。そうすれば、試験の成績が驚くほど向上するはずです。
継続力を付けるには、勉強を「習慣化」しよう
さて、どんな勉強法にも言えることが1つあります。それは、「継続」して勉強を続けることです。勉強法はただの手段であり、良い手段を使っても悪い手段を使っても、それを継続できないようでは、絶対に成績を上げることは出来ません。
しかし、この継続が難しいというのが受験生の本音だと思います。筆者も受験生時代には継続力がないことに悲観し、なかなか勉強を続けられずにいました。その結果、高校1年生の時には偏差値40代を取って、学年でもかなり下位の方にランクインしてしまいました。
そこで本稿がおすすめするのが、「勉強を習慣化する」ことです。受験生が勉強に対してモチベーションを持てないのは、精神力が弱いとか、勉強に向いていない体質だからとか、そんな理由ではありません。ただ単に、習慣化していないことを続けるのが難しいだけです。つまり、悪いのは今までの環境であり、自分が勉強に向いていないなどと思う必要はありません。
勉強を習慣化するためには、毎日同じ時間帯に勉強を開始することが重要です。考えてみれば、毎日の歯磨きやお風呂、朝食・昼食・夕食は同じ時間帯に行っています。これは、幼い頃から同じ行動を繰り返してきた結果、ある時間帯にある行動を行うことが習慣化されているのです。
このように、勉強も同じように習慣化することが出来るはずです。ただ、最初の1カ月程度は勉強を始めることがつらいかもしれません。しかしそれは、まだ勉強をするという習慣が身に付いていないだけであり、1カ月後には難なく勉強を開始することが出来るはずです。
最初こそ根性論になりますが、成績を上げるためには最初に出来るだけ頑張って、あとは習慣に乗って楽をすれば良いということになります。
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テクニックの勉強は最後にする
シンプルな勉強法でも、継続すれば成績を上げられることをお伝えしました。
しかし、受験生が気になるのは、いわゆる「受験テクニック」かもしれません。例えば、スラッシュリーディングや設問の先読み、注釈を先に見る、設問に関連するキーワードだけ読む、といったテクニック部分の勉強です。
確かに、これらのテクニックを用いることで、解答速度を多少なりとも向上させることは可能です。しかし、重要なのは「正解率」であることに注意してください。どんなに解答速度が速くても、自信をもって安定的な解答が出来なければ、本番の試験で合格点を取ることは難しいでしょう。テクニックに頼った解き方だと、どうしても解答に不安が残るものです。
これを解消するためには、やはり本質的な英語力を向上させ、長文を自由自在に読みこなすための実力が必要になります。その上にテクニックを重ねることによって、他の受験生を圧倒的に出し抜くスピードが手に入るという訳です。つまり、テクニックは本質的な勉強のあと、にした方が勉強の効率を高められます。
塾に通っている人や、学校の先生からこういったテクニック部分だけを教わっている人は、まず単語力や文法力といった基礎部分の学習を重視し、本稿で紹介したシンプルな長文の勉強法を実践してみて下さい。テクニックの勉強をするよりも、確実に成績を向上させられると思います。
具体的に長文をどう読むか?ーポイントは3つある
1.アタマから読むことを徹底
ここからは、具体的に長文をどう読めばよいか、という点について解説します。
まず1つ目のポイントは、「絶対に後ろから読まない」ということです。日本語と英語の語順は全く異なるので、受験生の多くは「返り読み=後ろから読む」という読み方を実践しています。しかしこの読み方だと、読むスピードを上げることは不可能です。
例えば、日本語を読むときに後ろから読んだり、真ん中から読んだりすることがあるでしょうか。絶対にないはずです。みなさんは、普通に前から読んで日本語を理解していると思います。これは英語を読むときも同じで、英語が読める人は英語を前からしか読まないのです。
英語をアタマから読むコツは、「慣れ」です。慣れというと聞こえが悪いですが、要するに英語の語順を体で覚えるしか道はありません。最初の1カ月程度はかなり苦しい時期になるはずですが、英語の語順に慣れてしまえば、前から読んだ方がスムーズに英文を理解することが出来ます。
したがって、長文練習の際には、英語を絶対に後ろから読まないでください。アタマから読むという意識が重要になります。
2.まとまりごとに区切る
しかし、ただアタマから流し読みしても、英語を理解することは難しいはずです。その理由は、英語の「意味のまとまり」を捉えることが出来ていないからです。日本語であれば、どこからどこまでが1つのまとまりで、ここからは違うまとまりが始まっている、ということを感覚的に理解できていると思います。
それが英語になると、単語力や文法力の欠如といった問題から、意味のまとまりを捉えることが出来なくなるのです。その結果、単語は読めるけど意味がよく分からない、という状態が生まれてしまいます。
これを防ぐには、意味の切れ目で区切って読むという勉強法が重要になります。例えば、that節やif節といった文法ならば、「ここからは前の単語を修飾しているんだな」、「ここからは'もし'の意味になるんだな」ということが分かるはずです。すべての英文に対して、このような意味の切れ目を当てはめていきます。
3.自然なスピードで読む
最後に重要なのは、無理なスピードで読まないという意識です。塾で通っている人は、速読という言葉を聞いたことがあると思います。速読とは、英文を早く読むための技術のことです。
この速読力を付けようとすると、どうしても英文を早く読まなくてはという意識が働き、結果として英文の内容が何も入ってこなくなります。それは当然であり、自分の理解力を超えた速度で英文を読めば、内容が頭に入ってくるはずがありません。そもそも、人間には個々に読むスピードの限界があることも知られています。
これを克服する方法は、自然なスピードで読むことです。ゆっくりでもいいので、自分が英文を理解できるスピードの範囲内で読みます。本稿で紹介したシンプルな勉強法を用いれば、自然なスピードで英文を読んでいても、長期的に見れば読解スピードは向上していきますこの理由は、単語力や文法力が身に付き、長文の読み方が体に定着するからです。
まとめ:シンプルな勉強を継続して、自然に英語力を身に付ける
本稿では、長文読解の勉強法と、長文の読み方について解説しました。高校入試の段階では、それほど高度な英語力が求められることがないため、本稿で紹介した勉強を「継続」することで、短期間のうちに実力UPを図ることが可能になります。
重要なのは、勉強法を継続することです。そして、英文を読む際には、肩ひじを張らずにムリなく自然体で読んでいきます。それを継続すれば、長期的には英語力を大幅に高めることが出来ます。
1日や1週間程度での劇的な実力UPはあり得ません。1カ月単位で実力を養成する覚悟で、英語力を伸ばしていきましょう。