大学生には大人気のバイトである、塾講師。少し調べれば分かりますが、塾講師はキツイ、ブラックな業界、でも時給は高い、など、これからバイトに応募しようという人には不安な要素がたくさんあると思います。
このページでは、ほとんどの人が知っているであろう大手塾でアルバイトをしていた経験から、私が塾講師の仕事内容や実態について解説したいと思います。私は個別指導塾の経験もあるので、集団塾と個別指導塾の違いについても解説します。
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集団指導塾編
仕事内容
集団指導塾では、基本となる集団授業(5~15名程度)に加え、プリント作成、保護者・生徒対応、欠席者への電話掛け・連絡封筒の作成、テスト監督やテスト採点・集計・入力、電話対応、授業報告書の作成など、仕事内容は多岐に渡ります。
授業をしていれば大丈夫、なんてことはなく、一般的な会社で軽く働くくらいの経験が得られると思います。社会に出る練習くらいの気持ちで求人に応募してほしいです。自分を成長させたいという人にはおススメですね。
授業について
授業を成立させるためには、予習はもちろん、生徒の扱い方を学んでいく必要があります。自分は大丈夫と思うかもしれませんが、ほぼすべての新米講師は声が小さく、授業がうるさくなりがちで、板書も見づらく、説明も分かりづらいです(新人の先生を見ていた経験から思ったことです)。
授業のレベルを上げるにはとにかく経験しかありません。どこの塾でも1か月程度の研修が存在しますが、研修では役に立たない基本的すぎる技術を学べるだけです。実践では本当に様々なトラブルがあり、1つ1つ経験を積んでいくしか講師としてのレベルを上げる術はありません。
初心者は授業を成立させるのがやっとで、最初のころはかなり大変に思うはずです。ただし、慣れてくると授業をするのが楽しくなってきます。最初がものすごく大変なので、耐えられなさそうな人はやめておいた方が良いです。
ちなみに、新人とベテランを見分ける方法は簡単で、声の大きさを見ればすぐに分かります。新人は声に覇気がなく、ナヨナヨしていて正直聞きづらいです。ベテランの先生は、緩急をつけてテンポよく話し、かなりの声が出ています。授業の満足度に直結するので、新人の先生はまず声の大きさを意識してほしいですね。
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時給:実質時給は低い
塾講師の求人を見ると、「1コマ90分2000円!」や、「時給2300円」などの表記をよく見かけます。確かに、他のアルバイトと比べれば格段に時給は高いです。しかし、ダマされてはいけません。
これらは名目時給であり、給料を実際の労働時間で割った実質時給はとても低いです。そして、集団指導塾だとこの傾向が高まります。
予習が必要
例えば、集団授業を1つするためには、最初のころだと1時間程度の予習が必要です。数学や理科、英語なら科目の性質的に予習が少なくて済みますが、国語や社会を担当することになれば、予習の量がとても増えます。特に国語は文章を隅から隅まで読まないと授業ができないので大変です。
コマ手当のつかない雑務
また、集団授業ではプリント作成や欠席者への電話、配布物封筒の作成など、授業前後にも雑務が多く発生します。コピー機の扱いに慣れない頃はプリント作成で時間がかかりますし、必要書類の場所もいちいち聞かなければ分かりません。また、初心者の頃は電話一本するのにも一苦労です。
このような雑務には、「コマ手当」という給与が発生します。これは授業給とは違い、最低賃金近くで設定されることがほとんどです。コマ手当は通常10~15分で設定されており、その時間の労働は時給に含まれません。つまり、仕事が遅ければその分損をするということです。
塾講師は授業以外にも様々な業務があり、慣れない内はそれらの作業に時間を割かなければなりません。慣れてきたとしても、本来のコマ手当で設定された時間よりも長く働く必要があるのは日常茶飯事です。必ずと言っていいほど、損をしている時間が発生します(働く必要があるのに)。
雑務の量は日によっても変動しますが、欠席者が多いときや、テストの採点、テスト結果の集計や入力、忘れ物対応、提出物の催促電話など、がある日は特に損をしたと感じます。ここに書いたのはほんの一例で、他にも様々なトラブルが存在し、その度に無給労働をさせられます(正社員はもちろん給与が発生します)。
他のバイトは基本的に、働いている時間はすべて給与が発生するので、この点に納得できない方は塾講師に向いていないと思います。生徒のためを思って自分の時間を犠牲にできる人でないと無理です。
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個別指導塾編
仕事内容
個別指導塾での仕事内容は、基本となる授業に加え、授業後の生徒対応、授業報告書の作成、教材のコピー、電話対応などです。
集団指導塾に比べると業務量は減ります。塾長が雑務全般をこなしてくれることが多いので、講師一人一人の負担は少なく、講師は良い授業を作ることに専念できると思います。
服装に関しても、集団指導塾がスーツ着用を義務付けている所が多いものの、個別指導塾では白衣やユニフォームが用意されていることが多く、自由な服装で出勤できるのも強みでしょう。
授業について
授業は正直言えば、かなり楽です。個別指導塾の授業は1対1から1対4までありますが、基本的には1対2の授業が多くなります。
授業の進め方としては、宿題確認→小テスト→内容解説→演習→問題解説→宿題、という流れになります。注意点としては、同時に二人を捌く必要があるので、上記の流れを交互に行わなければなりません。これが意外と難しく、慣れない内は片方の授業がストップしてしまうこともしばしば。上手く捌くには経験値を積むことが必要です。
ただし、集団指導塾ほど覚えることは多くないので、初心者にもおススメできるのが個別指導塾ですね。一度個別指導塾で教える経験を積んだ後に、集団指導塾で高時給のバイトをするのもおススメの働き方です。
時給:効率の良さで変わる
個別指導塾では事務作業が少ないので、効率的に仕事をこなせば名目通りの時給がもらえます。時給の相場は1200~1800円程度で、1コマ90分とすると1800~2700円程度です。集団指導塾と比べると時給は低いですが、他の一般的なバイトと比べれば高めと言えます。
初心者の頃は教材のコピーや授業報告書の作成に時間がかかるため、その分の時間損をしてしまいますが、慣れれば額面通りの実質的な時給を得ることも十分可能です。
成長はできないかも
個別指導塾はかなり楽な上に高時給のバイトなので、私的にはとてもおススメのバイトですが、社会経験を積むことはあまり出来ないと思います。集団指導塾であれば、保護者様や上司と直接関わる機会が多いので基本的な社会マナーは身に付きますが、個別指導塾だと塾長や保護者様と話す機会が少なく、経験としては浅いものになります。
共通編
塾業界はブラックなのか
ブラックです。さすがに世間的に給料が出ないなんてことはありませんが、アルバイト講師にとってはブラックだと感じることが多くなるでしょう。
コマ手当の時間をオーバーした事務作業に残業代が付かない点や、離職率の高さゆえの職場環境の変わりやすさ、休日のイベント出勤など、言いたいことは山ほどあります。
正社員であればブラックさを感じることは少なくなるでしょうが、バイトにとっては劣悪な環境であることは間違いないです(もちろん塾によって環境は異なると思います)。
稼げるのか
稼げません。一見高時給ですが、それは1授業に対して払われるものであり、授業数を増やさないと稼ぐことは難しいです。そして、塾の方も先生が足りない授業に新人を入れることになるので、希望の時間帯・教科の授業に入れることはあまりないです。
大学の後や休日に講師として働きたい人が多いと思いますが、自分の希望の時間帯に空いている授業があるとは限らないので、結果的に週2コマしか担当できず、給与としては2~3万程度になることもザラです。この辺りは塾長との相談にもなりますが、希望の働き方が出来るとは思わないほうが良いです。
しかし、塾は日曜日にもイベント(主にテスト)を行っていることが多く、授業数を増やしたりテスト監督やイベント授業を多めに引き受けることが出来れば、月6~9万の高給与も期待できます。
他のバイトの方が良いのか
これは一概には言えませんが、「教えるのが好き」、「子どもが好き」、「給料よりも成長が欲しい」という人には強くお勧めできるバイトです。ただし、かなり強い思いでないと後悔することは言っておきます。生半可な気持ちでやるとストレスが溜まってしまうと思います。
初めの内は予習も念入りにする必要がありますし、覚えることも他のバイトと比べて多いです。ただ、バイトの時間を増やすことが出来れば効率よく稼げることは確かですし、軽い社会経験を積むこともできます。
デメリットとしては何度も述べているサービス残業に加え、毎週シフトが固定されることが挙げられます。シフト固定は意外と痛く、テスト期間や忙しい時期に被ると悲惨なことになります。ここは他のバイトと比べると劣っていると言えます。
総合的に見れば良いバイトですが、強いメンタルがないと務まらないバイトだと思います。
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まとめ
いかがでしたか。塾講師の実態を集団指導塾と個別指導塾に分けてご紹介しました。塾講師は、求人に出ていない部分の仕事が多く、ブラックと感じる人も多いです。
それでも自分の成長のため、生徒のためを思って働ける人にはとてもおススメできるバイトです。授業数を増やせばかなり高給与を得ることも可能です。
バイト選びの際にはぜひ考えてみてくださいね。