この記事では現役塾講師である私が、個別指導塾のアルバイトの実態についてご紹介します。求人サイトでは得られない情報をたくさん載せていますので、最後までお読みいただけると幸いです。
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時給・給与面
多くの個別指導塾では、「1コマ1800円」のような形で給与が示されています。1コマ当たりの時間は約90分が一般的で、1コマ当たりの給与は低い所で約1500円、高い所で約1800円程度が一般的です。時給換算すれば約1000~1200円となり、時給面では他業種のアルバイトと差がありません。
しかし、この時給を鵜呑みにしてはいけません。これは言わば「名目時給」であり、「実質時給」はこれよりも低くなります。
この理由は、個別指導塾には生徒の休憩時間や残業があるからです。休憩時間はコマの間で5~10分であり、この時間には給与は支払われません。
また、残業とは「生徒の個別カルテの記入」や「生徒の送り出し」、「塾長への報告」等のことです。最近では、「コマ手当」などの名前でこの残業代が支払われることが多いです。しかし、「コマ手当」の時間は15分程度に設定されているものの、実際は15分では終わらないことが多いです。
15分を超えた分はもちろん支払われませんので、短時間で仕事を終わらせない限りは損となってしまいます。
昇給に関しては、半年または1年ごとに審査が一般的で、昇給額は時給換算で30~50円程度です。しかし昇給制度がない個別指導塾も多いですから、求人サイトや面接でしっかり確認して下さい。
時給・給与のまとめ
- 1コマは約90分、1コマ当たりの給与は約1500~1800円
- 時給換算すると約1000~1200円
- 仕事が短時間で終わるかどうかで時給が変わる
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待遇面
ほぼ全ての個別指導塾で交通費が支払われます。ただし、「月〇万円以下まで」のように上限は決まっているので注意が必要です。
しかし、新人研修についてはよく調べる必要があります。ほとんどの個別指導塾では必ず新人研修を行っていますが、その頻度や内容についてはかなりバラバラです。私がバイトをしていた個別指導塾では、求人の際に「手厚く研修をします!」と書いてありましたが、実際は研修が1回のみで後は実戦経験を積むしかないような環境でした。
研修は多い方が良いです。実際に生徒を前にして授業をすると、研修では習わない事態が大量発生するので、基本的なことが学べる研修を多く受けて損はないです。アルバイトの面接の際に、研修について必ず質問をして下さいね。
また、塾によっては就活指導を行ってくれる所もあります。これは就活時の面接の対策が多く、主に塾長が指導をします。しかし、この就活指導のレベルは高くはありません。塾長といっても、個別指導塾では社員が1人派遣されて塾長を務める場合が多いため、塾長の年齢は集団塾講師と比べ低いです(~35歳)。
人事の経験がある訳でもないので、面接での的確な指導は望めないでしょう。あくまでも就活指導はおまけ程度に思った方が良いです。
また、社員登用制度を取り入れている塾があります。就活でなかなか内定が取れない大学生や、フリーターの方には魅力的な制度だと思います。詳しい内容については求人サイトに書かれていませんから、面接時に必ず確認して下さい。
表彰制度も塾バイトの特徴の一つです。それぞれの塾によりますが、表彰をされると報奨金が貰えたり、昇給したりと様々な特典があります。しかし表彰を受けるには、基本的に難関校への合格実績を多数出す必要があるので、新人バイトが表彰を受けるのは非常に難しいと言えます。そもそも、新人には難関校対策を任せないことが多いので、表彰などは基本無視として良いと思います。
待遇面まとめ
- 交通費は出る
- 研修制度は基本あるが、塾によってばらつきがある
- 就活指導や社員登用制度、表彰制度は塾によって大きく異なるため、確認が必要
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仕事内容
仕事内容については求人サイトにあまり書いていないため、自分自身でしっかり確認することが必要です。
たいていの個別指導塾では、基本となる授業に加え、生徒ごとのカルテ記入、教室清掃、生徒の送り出しなどが業務です。また塾長不在時には塾長の代わりとして、電話対応、保護者対応、欠席連絡、配達物受け取り、教室管理などの業務が発生します。
仕事内容はそれほど大変ではないものの、相手が小中学生のため想定外の状況も多く、ある程度の臨機応変な対応は求められます。ここからは主な仕事内容について詳しく見ていきます。
授業
1対2が基本ですが、1対1、1対4なども多くあります。私の感覚としては、同時に見られるのは2人までです。相手が増えるにつれて1人に割ける時間が少なくなるため、相手が多ければ多いほど指導は難しくなります。正直、1対4以上では個々の生徒をよく見ることは難しく、ほとんど質問対応のような授業になります。
1対2ですら慣れるまではかなり大変で、テキパキと指示出しをして効率的に授業を進めないと、どちらかの生徒が待っているような状況が生まれがちです。生徒によっては、問題が終わってもこちらから見てあげない限り話さない子もいるので、常に意識を向けておくことが大事です。
授業の流れとしては、「宿題の確認→テキストの説明→演習→答え合わせ→宿題を出す」となります。塾によってはカルテの記入を上記の流れの中で行う場合もあります。この場合は2人分のカルテを授業内で書かなければならないため、非常に効率的な授業が求められます。
また、生徒の性格によって授業の形態は大きく変化します。宿題をやってこない生徒はかなり多く、教えたことを次の週にはすべて忘れている、などということは日常茶飯事です。集中力がない子は寝てしまい、なかなか問題を解こうとしないため、常に授業がスムーズに進むとは限りません。1人1人に合わせた授業展開が重要です。
カルテ記入
塾講師の仕事で一番時間がかかるのがこのカルテ記入です。カルテの内容は、出欠や遅刻早退、宿題の状況、授業内容、生徒の様子、次回の宿題などを記入します。授業をしながらこれらに意識を向ける必要があるため、問題を解かせている際も気が抜けません。
また、カルテの記入は先生ごとにかなりバラバラで、中には内容がよく伝わらないカルテも存在します。重要なのは、カルテが引き継ぎ書となっていることです。個別指導塾ではシフトの関係から担当外の生徒を受け持つことが多く、その際はカルテを見ながら授業をすることになります。カルテの内容が不十分だと、どのような授業をすれば良いか分からないため、授業が難しくなりがちです。
生徒の送り出し
生徒の送り出しは重要な業務の1つです。塾の前は大通りに面していることも多く、車や自転車の事故に巻き込まれないように、生徒をしっかり見る必要があります。送り出しは当番制が多く、当番の日は生徒が全員出るまで外で待機ということも珍しくないです。送り出しの際には、生徒が安心して帰れるように笑顔で対応しましょう。
仕事内容まとめ
- 授業、カルテ記入、教室清掃、カルテ記入が主な仕事
- 授業は慣れるまでが大変で、効率的に進めることが求められる
- カルテ記入は時間がかかる上、丁寧に記入する必要がある
- 電話対応や保護者対応が求められる場面もある
個別指導塾のバイトまとめ
個別指導塾バイトは時給的にそこまで高いバイトではありませんが、生徒の成績が上がった時には大きな達成感が得られます。一方、電話対応などが求められる場面もあり、生徒や保護者によって臨機応変な行動が求められます。
なお、集団塾についての同内容を以下の記事で解説しています。
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